Aktuelles, dies&das, Kolumne, Sage & Schreibe Nr. 35

Ichigo ichie (Japanisch)

Von Kokone Shigemitsu*

「一期一会」これは日本に古くから伝わることわざである。意味を簡単に説明すれば、世の中は一生に一度限りの出会いで溢れているということだ。これからあなたが出会う人、今まで出会った人。彼らとはもう2度と会うことがないかもしれない。だから、どんな出会いも大切にしなさい、という教えである。


[Bild: rietberg.ch]

この言葉は茶道を通して伝えられた。あなたの今、目の前にある貴重な茶碗を見るのは最後になるかもしれない。同席している他のお客さんと出会うことはもうないかもしれない。現代のわたしたちからすれば大袈裟に聞こえるかもしれないが「どんな長い人生を生きても、同じ日は一度たりともない」ということをこの言葉からひしひしと感じる。

私がこの言葉に自分なりの意味を持たせるとすれば、「出会いと別れは簡単にやってきてしまうのだから、それらを見逃さないように」となるだろうか。さよならを突然言わなければならないことなんて、とても稀だけど、私には忘れられない別れがある。あれは2020年の春だった。世界的なパンデミックにより、私のスイスでの留学生活が急に終わりを告げた。クラスメイトや先生方に、直接お礼もお別れの言葉も言えないまま、私はスイスという国を後にすることになった。もうあれから2年が経った。今でも時々、スイスにいた日々を思い出すことがある。出会った人々や景色を懐かしむこともある。今振り返ってみると、私にとっての留学は「人生でまたとないほど貴重な経験」だったし、本当に大きな意義のあるものだった。

21世紀になった今日でも、出会いも別れも知らない間に訪れることはある。簡単に連絡が取れる時代だけど、だからこそ再会できることはとても特別だ。「周りの人を大切にするということ」古くから伝わる「一期一会」という言葉がそれを忘れるな、といつも私に語りかけている。

* Kokone Shigemitsu war 2020 Austauschschülerin in der damaligen Abteilung G1A. Sie lebt und studiert heute in Tokio.